社会
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さいたま市内の保育園保護者会の行事「おイモ掘り」に参加した。11月に入ってからの最初の土曜日、場所はさいたま市緑区大崎公園近くの農地である。雨で1週間延びてしまった。行事が延びてしまうのは楽しみにしていた子供たちにとってはガッカリ、休みを合わせるなどの準備をしていた親たちにとっては大慌てである。とはいえ畑のコンディションもまずまずといったところで親子ともどもわくわくする時間を過ごした。
土を一心不乱に掘り続けて宝物を探す子供たち。掘り当てた喜びの笑顔と歓声に、他人の子供であっても顔がほころぶ。
そんな矢先、食材の虚偽表示問題が日本各地で大手ホテルやデパートで発覚した。いったい誰が「掘り出した」ことであるかはわからないが、純粋に正義の掘り出しと考えたい。まっとうな消費者、家族団欒の食事会を踏みにじった行為を許すわけにはいかない。
過去を思い起こせば産地偽装問題が日本中に衝撃を与えた事件もあった。その時にふっとよぎった思い出がある。20年ほど前に暮らしていた家の隣が農家であった。当時、市場に出せない規格外の野菜が農家の軒先で野菜無人販売されており、形は悪くとも新鮮だという理由でちょくちょく買いに行った。そんな折、ふと目をやると奥の倉庫に真新しい山積みの段ボール。何とそのダンボールには「○○県産トマト」と印刷されていたのだ。勿論住んでいる場所とは全く違う。産地偽装?と疑ったが、お隣であったことからも聞き正すこともできず、その後その地をあとにした。
今思えば、昔から行われていた悪しき行為であったのかもしれない。自身で育て作り上げた品物が品質も変わらず味も良いのだという自信がなかったのか、産地によって価格に差がつくことにいら立ちがあったのかはわからない。しかし、同じ労力を使い、懸命に育ててきた農家の思いを考えると、心に痛みを覚える。
かたや前者だが、過去の産地偽装問題を省みることなく行っていた。公衆の前で深々と頭を下げてはいるが、信頼を回復し真摯な対応をとるという弁明に努めていない感がある。現実の釈明に追われ、何十万食ともされる偽装品の責任は置いて行かれている。経営者の利益追求に倫理の姿勢を願いたい。
政府は早急な法の整備を検討する。国民一人一人が信じて口にする食材だ。TPPによる新たな食材も増えてくるだろう。イタチごっことならぬよう、政治の力が試される。
無邪気な子供たちが掘り出したおイモのように、私達は高い意識を持ち、笑顔で「美しい日本の宝」掘り出していきたい。
(白坂 健生)
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