トップページ ≫ 社会 ≫ 箱根駅伝で考えた「チーム」と日本
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新春恒例の箱根駅伝の中継をテレビ観戦しながら、「チーム」というものに思いを巡らせた。まずは中継中に放送されていたハム会社の「グループでなくチームです」という広告が非常に印象的であった。箱根駅伝がテレビで生中継されるようになったのは1987年からで、襷をつないでいくというシンプルなルールの中でかいま見せる汗と涙のドラマが聴衆の心をうち、非常に優良なコンテンツになった。この駅伝というチームスポーツの文脈に合致した広告だからこそ印象に残ったのであろう。
総合優勝した東洋大学はまさに「チーム」力の勝利だった。一方、筆者が印象に残っているのはケニア人留学生の明暗だった。拓殖大学のダンカン・モゼは花の2区で10人抜きを果たした。だが、同じ2区を走った山梨学院大学のオムワンバは疲労骨折という形で棄権した。そのオムワンバは「(3区以降の)みんなは走れないのか」と他のメンバーのことを気遣っていたそうだ。また拓大の岡田監督はモゼについて「夏以降、チームのために我慢することを覚えてくれた」「4年になって襷の大事さがわかってきた」とコメントしていた。これは両留学生が合宿生活など通じて価値観が共有されて、「チーム」意識が芽生えたということではないか。筆者はここに人口減に直面するわが国にとってのヒントがあると考えた。
現在アベノミクスの影響や東京五輪の決定で、建設現場は人材不足を起こしている。そこで昨年末、政府は外国人労働者の国内受入を大幅緩和する方針を固めた。しかし緩和の主な内容は3年の滞在を5年に延長で、基本的な思想は年季奉公があけたら母国に帰ってもらおうということには変わりない。これでは外国人労働者はいつまでたっても受入側にとってのお客さんになってしまう。来る側も受け入れる側も「チーム」意識が芽生えるには限定的になってしまいはしないか。ここは一つ我が国の文化にふれてもらって、日本社会という「チーム」の一員としての我が国に残る、そして後進を育成するというような立場になってもらうような受け入れ方もあっていいのではないか。そのことによって人種は違えどもわが国の持つ価値観を共有する「チーム」ができると理想だと、そのようなことを考えさせられた第90回の箱根駅伝であった。
(林 智守)
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