トップページ ≫ 社会 ≫ 最新経済指標と世論調査からみた消費税引き上げの是非
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今朝発表された日本経済新聞とテレビ東京の共同世論調査によると、2015年10月の消費税10%への引き上げについて「反対」が63%で「賛成」の30%を上回った。前月の調査より、賛成は6ポイント下がり、反対は4ポイント上昇した。13日に政府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が、消費増税に伴う駆け込み需要の反動もあり昨年同期にくらべ年率換算で6.8%と減少したことも影響していると思われる。1~3月期は6.1%増だったため、この落差は鮮明だ。東日本大震災の際の6.9%減以来の落ち幅だった。項目別に見ると、個人消費が前期比5.0%減(年率換算18.7%減)と大幅に下がっており、駆け込み需要の反動だけでなく消費増税による実質所得の減少を反映している可能性がある。10%への引き上げの判断は12月初めと予想されているが、安倍首相はどう判断するか。
消費税10%への引が上げについては、2011年11月のG20首脳会議で当時の野田首相が「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」と言ったことが国際公約だといわれている理由である。しかし、この目的は国の借金を減らし財政の収支(プライマリーバランス)を均衡にするために他ならない。引き上げによりさらに個人消費が落ちてしまっては、この目的へ遠ざかってしまう。今回のGDP速報を受け、景気を刺激する政策が必要だ。円安効果によって電力代やガソリン代が高騰している。これを下げることも景気浮揚策の一つである。たとえばガソリン価格については全国平均小売価格が3カ月連続で160円を上回った場合、ガソリン税のうち暫定税率で上乗せされている分(1リットルあたり約25円)の課税を停止することができる(トリガー条項)。これを適用しガソリン価格を下げるアイデアなども上がっている。また10%への引き上げると、同時に軽減税率の導入の検討される。生活必需品への軽減税率は低所得者対策としても考えなけなればならないが、その適用範囲を定めるにあたってはかなりの議論が予想される。政治的妥協などによってこの適用範囲が増え税収増加の効果が落ちては、結果的に小売りの現場へ負担をしいただけになってしまう。
安倍首相は今年の7~9月期のGDPをはじめとする経済指標を見て引き上げを判断すると見られているが、改めて景気浮揚のための経済政策を優先してもらいたい。広島市の痛ましい土砂災害で改めてわが国にはまだまだ防災への投資が必要だとわかった。防災減災対策による景気下支えやさらなる規制緩和などの経済対策を来月からはじまる秋の臨時国会で期待したい。
(林 智守)
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